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…14。





だってほら、例えば授業でわからないところがあった、とかそんな理由ではないだろう。
…まず今日は自己紹介しかしてないし。

俺が泣いているだろうから笑いに来た、てのも無い。
…むしろ泣き顔を見て驚いてた。


もしかして謝りにきた?

いやいや、だったら目的を終えた今、ここにとどまる理由がない。



…てか俺、何か忘れてないか?



無意識に左手首の時計をいじりながら考え込んでいると、さっきの「あれ?」を聞いていた朝比奈が「どうした?」とばかりに俺の手首に触れた。



「…痛ぇの?」
「えっ!?あ、いや違くて…」



まさか、なんで来たのか考えてたとは言えません!


いつの間にか前に立った朝比奈は、「見せてみろ」と手首を掴んで自分の方に引き寄せた。


少し緩めに巻かれた腕時計の隙間から労るように手首に触れてきて、「腫れてはないみたいだけど」なんて呟いてる。


…どうしよう。



「だ、大丈夫、だよ。何でもないから!」


焦ってどもったのが悪かったらしい。

ゆっくりと撫でられて背筋がぞわぞわってして、思わず身を震わせた瞬間にバチリと朝比奈と視線が合ってしまった。


うわっ、気まずっ!



何となく掴まれていた手を引くと、不審に思われたのか直ぐに手首を掴み直された。



「…おい。」
「ひゃいっ!」






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