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…16。





「無、限…先生…?」
「無限?」

「……」



入り口に立ったままの無限に名前を呟くと、同時に朝比奈も驚いたように名前を呟いている。
そりゃあ、まさか無限が来るなんて、俺を含め思ってみなかったから当たり前だ。



そんな俺達を無言で見つめる無限は何でここにいるんだろう。


だって、無限はここにあまり近付かない。
前に標本とかが気持ち悪いって言っていた事がある。

元々無限のテリトリーは数学準備室で、ここからはかなりの距離…ぶっちゃけ違う校舎だ。


頭の中にハテナマークを浮かべながら、「どうしたんですか?」と訊きそうになって口をつぐんだ。



てか、明らかにどうかしてるのはこっちじゃん?



机に身を預けるように仰け反ってる俺。
それに離れたとはいえ手首を掴んだまま多い被さっている朝比奈。
そんな俺達を見つめる無限。



客観的に見てもこの状況って有り得ないよね!?
なんなのこれ!なんの悪夢よ!


三人ともこの状況に固まったままピクリとも動けなくて、嫌な沈黙だけが辺りに漂った。


…正直胃が痛み出しそうです。





「…邪魔して悪かったな…」



やっと沈黙が終わったと思いきや、あろうことか無限はソッとドアを閉めて立ち去ろうとしやがった。



「って、ちょっと待って!誤解だからっ!」
「なんて言うと思うか馬鹿共!」


…無限先生、ノリツッコミも出来るんですね。
知りませんでしたよ、あはは。




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