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…7。





泣いてた事をすっかり忘れていた俺って恥ずかしすぎる。


そういえば泣いてたんじゃん!なんて思って顔を背けると、握り締めていたハンカチを奪われて思わず顔を上げた。



今度こそがっちり視線の合った朝比奈の目は、目元を真っ赤に腫らした俺に明らかに動揺して泳いでいたと思う。



それでも握り締めてた所為でもうすっかり温くなっちゃったけど、せっかく冷やしていたハンカチを奪われた俺は、何だか無性に腹が立ったんだ。


だって、元はといえば全部こいつの所為じゃん?
こいつさえキスしなかったら、多分こんな思いをせずに済んだ筈だもん。

腹のそこからムカムカと湧き上がってくる怒りの矛先は間違ってないと思う。


大人気ないってわかってる。

6つも離れてる俺は、本当なら大人な対処をしなくちゃならなくて。
でも、…無理。




「っ…お前の、所為だ…」



絞り出した声に、朝比奈が息を詰めた気配がした。



…ああ、駄目だ。
こんな事言っちゃいけないって頭の中ではわかってるのに。




「…なんなんだよ、俺に何の恨みがあんの?」


「俺、何かした?」って。
意志とは関係なしに渦巻く黒いモノがぽろぽろと口からこぼれだしてしまった。




「ただ桜見に行っただけなのに襲われかけて、せっかくの初授業はお前の所為で台無しにされて…。」



…駄目だ、止まんない。



「俺は!…俺はただ……っ、」






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