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…10。





「本当、ごめん…」
「……。」



何度目かになる謝罪に肩を揺らして、同時にグラグラと心が揺れるのがわかる。


目に当てたハンカチで姿が見えない所為で、余計にすまなそうな声が強調されてて、それが本当に申し訳無さそうで…。



…そんなのずるい。
なんか、もう許すしかないじゃん。


キュッと噛んだ唇を尖らせながら開くと、それでも素直に「もういいよ」なんて流す事が出来ない。
悪足掻きってわかってるけど、許すための最後の抵抗できいてみた。




「…なんで、あんな事したんだよ…」



きっとただの暇潰しか嫌がらせってわかってるけど、そしたら「テストん時は楽しみにしとけよ?」なんて笑顔で言って、なんとか笑って許してやろうとか思った。

もちろんそんな事はしないし口だけの嫌がらせだけど、そのくらいは勘弁して欲しい。
私的には結構譲歩したつもりだ。



だから、


「……それは…、」



俺の問いに言葉を濁した朝比奈は僅かに言い淀むと、気のせいかな?なんか予想外過ぎる言葉が続いた気がするんだけど。




「…あんたが、無視したから…」



…………………は?
え?なんと言いました?今。

思わずハンカチを握り締めて、呆気にとられた間抜け面を向けると、



「っ、わざと視線そらすし目も合わせなかったから!」



怒鳴るように言われても理解するのには時間がかかった。






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