…17。
怒鳴りつけたい衝動を唇を噛み締めながらグッと堪えると、今にも涙が浮かんできそうなを必死で誤魔化して深い溜め息を吐いた。
「はあぁぁ…」
ぶっちゃけマジで腰砕け。
しゃくだけど腰に力が入りませんよ。悪いか!
それに何?この長さ。二分くらいはしてたよな。
ほんっっと、信じらんねえ!
でもそれを気取られないように気合いで無理矢理立ち上がると、困ったような笑みを浮かべた俺は、朝比奈を一度も見ないまま教壇に向かった。
「はい!みんな静かにして下さーい。」
ぱんぱん!
と手を叩いて注目させると、ざわつきながらもみんなこっちに向き直った。
向けられた視線はほとんど好奇。
勿論、背筋がゾワリと震えそうな捕食者の眼差しや嫉妬を含んだものもある。
…ヤバい。怖い。
震えそうになる足を必死に踏ん張って、本当は泣いて逃げ出したかったけど、堂々と顔を上げて表情では平静を装った。
「残念ながら自己紹介で授業時間が終了してしまったので、今日はこれで授業を終わります。」
ざわつく教室内でも俺の声はよく響く。
「…あ。あと、朝比奈くん?」
生徒達は、そのまま何も触れずに逃げ帰るとでも思っていたのだろう。
ざわつきがまたピタリと止んだ。
ああ、本当は俺だって逃げたいよ。
朝比奈を殴って罵って、お前のくだらない仕返しの所為で、これから最悪だ!って泣いてしまいたい。
でも、それじゃこれからの教師人生ナメられっぱなしだろ?
…そんなの嫌だ。
絶対後悔するじゃん!
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