…16。 「んぁ、ふ…ぁ…」 段々と体の力が抜けてきて、鼻から抜けるような声がもれる。 恥ずかしくて屈辱的で。 顔を真っ赤に染めながら力の入らない手で必死に押し退けようとしたが、やっぱりピクリともしない。 固定されてる所為であいにくと目視は出来ないけど、はじめは騒がしかった教室内はいつの間にか、しーんと静まり返っててクチュクチュと唇から漏れる水音だけが卑猥に響いている。 …マジ嫌だ。血の気が引きそう。もう本当、泣きそうだから!助けて誰か!ヘルプミー! ギュッと目を瞑って色んなものに耐えながら、早く終われと心から願った。 ―キーンコーンカーンコーン ちゅ。 「っはぁ、わぁっ!!…」 チャイムと共に長かったキスがリップ音を残して終わり、まだ無駄な抵抗をしていた俺は、手を離された事で後ろに倒れ尻餅をつくことになってしまった。 「〜〜っ!!」 …痛い。地味に痛いから。 痛すぎて声を上げる事も出来ず、腰の辺りをさすりながらキッと朝比奈を睨み付けた。 …なんだよこの嫌がらせ! 信じられない!放課後掃除の仕返しか!? 休み時間に入った筈なのに、誰一人動こうとしない室内の気まずさっていったらもう。 俺を見下ろしたまま濡れた唇をペロリと舌で舐め取って、綺麗っちゃ綺麗だけど、ムカつくくらい意地悪そうな笑みを浮かべた朝比奈は、 「…チャームポイントは、腰砕けのちゅーテク。」 途端に「キャーキャー」騒ぎ出す教室内。 「やるな朝比奈!」とか「師匠!」とかの聞こえる中で「ヤベッ、勃った…」とか聞こえてきたのは気の所為だ、馬鹿野郎! [*前へ][次へ#] [戻る] |