…9。
おかげであっという間に二時限が終わってしまった。
ついでに、四時限目の初授業に向けて、そのクラスの生徒もバッチリ覚えちゃったもんね!
空き時間の三時限目で自己紹介用に用意していた話を頭に叩き込むと、緊張と期待に胸を躍らせながら、初授業へ向かう事にした。
―キーンコーンカーンコーン
そんなこんなで初授業です。
チャイムが鳴り終わるのを待って、一拍置いてから教室のドアを開けると、生徒達の視線が一斉に集まって喉を鳴らした。
「あれって新任教師?」
「結構好みかも。」
…好みとか言うな!好みとか!
野次にしかとれない声に心の中で悪態をつけながら、緊張から僅かに震える足を悟られないように教壇へ向かった。
しっかりと教室内の生徒達と目を合わせながら、
教卓ってこうやって足を隠す為にあるのかも!
なんてどうでもいい仮説を立ててみたりして。
うん、ちょっと緊張がほぐれてきた。
残念ながら、初授業は副担の2−Dではなく、隣のEクラスだ。
ちなみに5クラスある普通科は、それでも進路別に組み分けされているらしくAB組が語学重視。CD組が理数重視。E組が重視科目無しとなっている。
家の事情で一年の内から大体の進路が決まっている生徒が多く、言うなればE組は進路が決まっていない。又は自由進路が許されている生徒、といった所だろう。
三年でのクラス替えはないが、進路で申請すればクラス変更も出来るらしい。…うん、特殊だ。
それはさておき、うるさい位の心音を悟られないように必死に笑顔を浮かべてみた。
なんせ、入学式では遠目に見た程度だった印象をここでしっかりと有利なものにしなければ、
今年一年…いや、これからの教師人生は舐められたままで終わると言っても過言じゃない。
気を抜けば引きつりそうな顔をプライド総動員でこらえて、黒板の真ん中に堂々と名前を書いた。
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