…17。
ちょっとした優しさに、胸の奥がほっこりと温かくなり微笑むと、朝比奈も笑ってくれた。
「…フッ。」
「へへ。」
…最近、朝比奈といると和むなぁ。
「ちょっと、何見つめ合ってるのっ!無視するな!ムカつく!」
「わぁっ」
「っと、」
キー!ってハンカチでも噛みそうな剣幕で割り込んで来た零蒔くんは、さっきまで被っていた猫をあっさりと脱ぎ捨てている。
「もう!一体何なの!?何和んでんの!?勝手に夕くんと見つめ合わないで!」
えー?
別に見つめ合おうとして見つめ合ってたわけじゃないけど。
「夕くんも!勝手に見ちゃダメ!減る!」
「減んねえし。無理。」
「もぉー!」
減るって俺?どこ?身長!?とか思ったけど、ツッコめません。怖いから。
「相変わらず過ぎるだろ。」
ダダをこねる零蒔くんを見て朝比奈が笑った。
「本当、わがままだな。」
わがままっていう割には、全然嫌そうな雰囲気じゃない朝比奈はなんだか楽しそう。
まぁ、て事はきっと零蒔くんの猫被りは日常なんだろうなぁ、なんて。
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