…15。
それから十分ほどだっただろうか。取材に答えた俺は、嬉々として帰って行く二人を見送って溜め息を吐いた。
取材は取材だけど、あの内容はいかがなものだろう。
予想以上に疲弊した。
始めは新任教師としての抱負や、実際に教師になってみての理想と現実の違いとか、結構いい質問をされたんだ。
しかしそこから、なぜか朝比奈との関係を訊かれ(もちろん教師と生徒だと答えた)
どう思っているのか訊かれ(見た目よりも面倒見が良くていい生徒だと答えた)
じゃあどんな人がタイプかと訊かれ(優しい方が…と答えた)
尾上くんが「条件クリア、ヒャッホーイ!」と飛び上がり(そもそもなぜ性別を丸無視なんだろうと思った)
オフレコにしますから!とまた朝比奈との関係を訊かれ(だから、教師と生徒だってば!)
あとは最後までそんな質問をされ続いた。
とにかく、朝比奈との関係を十回くらい訊かれたのには困った。
そんなに訊かれても答えは変わらないと言うのに…。
この質問をどのように記事として活用するつもりなのか…できればあまり想像したくない。
「…ほら。」
「あ、ありがとう。…本当に疲れた…。」
深く息を吐いた俺は、スッと出された麦茶を受け取ると、一気に飲み干し渇いた喉を潤した。
よく冷えた麦茶が美味しくてたまらない。
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