…1。 教師の朝は早い。 といっても寮が敷地内にあるおかげで通勤時間が短縮されるからだいぶいいけど。 枕元でけたたましく鳴り続ける目覚まし時計を止めると、大きな欠伸と伸びをした。 今日は月曜日。 式だけだった先日とは違って、二、三年生は二時間続きのLHRの後、早速授業があったりする。 と言っても午前授業だし、初めの授業なんて自己紹介だなんだでないにも等しいんだが。 早速四時限目に予定されている初授業に緊張しながら、週始めの職員朝会のため、眠い頭を無理矢理目覚めさせ身支度を始めた。 昨日のうちに買って置いたパンを無理やり胃に流し込んで歯磨きを済ませ、鏡の前で身なりの最終チェックを済ませると、 「いってきます。」 日課になっている挨拶をしてパタンとドアを閉めると、少し足早に学校へ向かった。 「おはようございます。」 職員室に入り、出勤カードを押すと自分の机に腰を下ろした。 「おはようございます。」 「おはよう、原田先生。張り切ってるね。」 「はい!」 コーヒーを片手に声をかけてくれたのは、体育教師の横山先生だ。 「コーヒー飲む?」 「あ、ありがとうございます。」 にこにことコーヒーを差し出してくれた横山先生にお礼を言うと、 「どう?緊張する?」 「…早く慣れるようにしたいですね。」 …当たり前だ。 初めての教師生活。 初めての授業。 初めて尽くしの毎日に緊張がないわけがない。 [次へ#] [戻る] |