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…8。





零蒔くんが来て、一時間ほどが過ぎた。


いやもう、正直な所、こんな苦痛な時間ってそうそう味わえるものじゃないよね?


だってずっと沈黙だよ?
必要最低限以外に喋ると怒られるんだよ?

そりゃあ零蒔くんと二人っきりは、それ程日が経っていない俺には結構な苦行だけど、更に沈黙っていうのはキツい。
別にドMってわけじゃないけど、これならまだ罵られてる方がマシだ。

口で言われた方が、まだ何を考えているかわからないよりマシでしょ。



本当は今すぐにでも逃げ出してしまいたい。


…けど、零蒔くんを置いて行くわけにはいかないもんなぁ。



溜め息だとわからない程度に息を吐きながらチラリと視線を向けると、ちょうど目が合った零蒔くんは、それだけでシャー!と威嚇してくる。
その姿は、まるで手負いの猫みたいです。


どうしようかなぁと思いつつ、フウと何度になるかわからない、なり損ないな溜め息を吐いた時だった。



ーコンコン…



突然響いた本日二度目のノック音は、まさに天の助けだと思う。
急いで扉に向かうと、相手の確認もせずに勢い良くドアを開けた。







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