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…9。





「別に泣かせたかったわけじゃなくて…、ちょっと指導してやろうと…」


しどろもどろで視線を揺らしている不良は、
「ちゃんと途中でやめるつもりだったんだ、…ちょっとやり過ぎたけど…」
なんて、信用出来るかっ!


涙目で睨む俺から目を逸らすと、申し訳無さそうに口を開いた。


「まぁー…アレだ。何かあったら無条件で助けるから。
……風紀には内緒にしてくれる?」



…ん?風紀?風紀委員会!?

なんですか、そのオイシイ学園モノ設定!
少なくとも、俺が在学してた学校には風紀委員なんてありませんでしたけど!


一瞬目を輝かせた俺を見て、
「いや、何でも言うこと聞くとかじゃねぇよ?勘違いするなよ?」
と焦る不良は、



「……実は俺、風紀委員なんだ。ほとんど名前だけだけど。」

「…………………………………何を基準に選出されるのか、そこんとこ詳しく聞いてみたい。」


だって不良だよ!?
髪染めてるよ?
ピアスは…見たところ着けてないみたいだけど、どっから見ても、取り締まられる側なんですけど!


あれか?
抱かれたい・抱きたいランキングとか?
いや、実際にあるわけないじゃん。どんだけ非常識だよ。
けしからん。もっとやれ!



難しい顔で脳内論争に花を咲かせている俺を怪訝そうに眺める不良…改め風紀委員?が、


「…ジャンケンで、だけど…」

と呟いていたが、俺の耳には届かない。



「とにかく、バレたら停学と山のような課題が出んだよ…だからさ…」


小さくなっていく語尾に見た風紀委員?には、見えないはずの耳と尻尾が見えました。


…わんこ!?

天然タラシの不良攻め、改め、天然タラシのわんこ攻めですか!?
いや、一匹狼タイプというのも捨てがたい。

赤髪美形の一匹狼ってよくあるじゃん。
王道に矢印と見せかけて、巻き込まれ脇役主人公といい感じになるのが俺の好みだ。
いや、今は俺の趣味とかどうでもいいけど。


どちらにしろ気のせいだろうか、ちょっと可愛く見えるんですけど。






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