…8*。
「ふっ、やぁ…、だ」
クリっと指の腹でこねられて、たまに爪が先端を掠める。
その度に小刻みに身体を揺らし、放してと懇願する声に甘い息が混じった。
…ヤバいヤバいヤバい!
うっかり声とか出しちゃう自分が情けないが、全部元カノの所為だから!
別れてからご無沙汰で溜まってたからの生理現象で、自分の意志じゃない事だけはハッキリさせておきたい。
そんな心の声を不良が受信してくれている筈もなく、ペロペロと耳の辺りを舐めていた舌が次第に首筋を下がっていく。
「やぁ、」
いや、本当、マジで止めてくれ!
喉仏を甘噛みするなっ!
脇腹を撫でるな!手つきがエロいよ、馬鹿!
「んぁっ、」
ちゅぅっと強く首の付け根を吸われ、何とも言えない刺激にとうとう本格的な甘い声を出すと、
「へぇ…意外とイイ声でナくんだな…」
面白そうに発せられた声にもう半泣き。
逃げたいけど、縛られたタオルの上から片手で押さえつけられてビクともしない。
「っ、いい加減に…んっ」
とうとう舌が胸元を濡らしはじめ、乳輪をなぞるように外側を舐められた。
中途半端な快感にビクつかせ、それでも確かに感じている俺はなんて情けないんだろう。
撫でられてる場所が疼く気さえして、僅かだけど下半身が反応してきてないか?
…やだ!やだやだやだ!
マジで嫌だ!
バタバタと足をバタつかせたが、俺より大きな身体にはなんの効果もなくて、
「ふぁ…」
とうとう我慢出来なくなって、ぼろぼろと涙が零れだした。
「うっ…ふぇ…」
我ながらガキっぽい泣き方だと思う。
けど、とにかく怖く怖くて仕方なくって。
大粒の涙が視界を歪ませて、悔しくて目蓋をギュッと閉じた。
…ああ、俺このままヤられちゃうの?
男との初体験は青姦?
しかも無理矢理?
もし、美奈ちゃんの願望通り俺がリアルにBL色に染まったとしても、こんなのってあんまりだ。
なんなんだよ、これ。
俺が何したっていうんだよ。
ただ散歩してただけじゃん!
ぐしゃぐしゃな思考回路でグズグズに泣き続けていると、
抑えつけられていた身体が不意に軽くなった気がした。
「あー………………わりぃ。」
降ってきた声に顔を上げると、バツの悪そうな顔が俺を見下ろしてて。
…あれ?もしかして、助かった…?
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