…7。
「っ!?」
持っていたはずのタオルで素早く腕を縛られて、状況を理解出来ずに間抜けな表情を浮かべた。
「…ひとがせっかく忠告してやってんのに。」
苛ついた声が耳元でして、サラリとした夕焼け色が視界を奪っていく。
…は?あれ?
ジジジ、と聞き覚えのある音は、首もとまで上がっていたツナギのファスナーの音だろうか。
一気に下までおろされた瞬間、やっと俺は今の状況を理解した。
「!?!??」
声にならない悲鳴をあげて、パニックを起こしながら、それでも近付いてくる感覚に身の危険を感じ取った俺は何とか声を張り上げた。
「なっ、何してんだっ!」
「ん?予行練習。」
…なんだよ!そのどっかの無限みたいなセリフ!
「馬、鹿っ…やめろ!」
思わずタメ口で怒鳴ってしまったのは、それだけ切羽詰まった状況だったわけで。
決して、年下だと思われている俺が、不良先輩に刃向かおうとしたからとかそんなんじゃない。
「…へぇ…この状況で一年坊主が口答えとか、…わかってる?」
ニヤリと上がった口角に、苛立ちを含んでも色っぽい目。
もう直ぐ近くまで迫った顔が、なまじ美形だから更に怖い。
ゆっくりと湿ったモノが首筋を伝って、その舌の感触にぞくりと背中が泡立った。
「な、や、ちょっと、待って…!」
ツナギの下に着ていたTシャツをたくし上げられ、長い指が胸を掠めた瞬間。
「…っ、俺は教師だ!」
ぴたりとその手が止まった。
…た、助かった…!
まだ体勢に変化はないものの、教師だとわかった今、状況は俺に有利だ。
てか、さっさと言えば良かったじゃん!俺の馬鹿っ!
しかし、ゆっくりと顔を上げた不良の表情は、俺の期待を脆くも粉々に打ち砕くもので…。
「………………は?」
なんですか!
その残念なものを見るような目は!
「ハッ!」
しかも鼻で笑いやがったな!
俺の言葉を見事スルーして、続行とばかりに乳首を摘まれた。
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