…19。
「…ごめんなさい…」
朝比奈にムカつかれたら嫌だなぁって、ちょっと泣きそうになりながら謝った。掴んでいた手を離しながら。
…だよな。感謝じゃなくて謝罪だよな。
あの時の朝比奈は、薬の所為で変になってた俺にあんな後処理をする羽目になって、しかもいらない拳をふるって停学にまでなったんだ。
…そりゃあ、怒ってるよね。
申し訳なさに、シュン…、と眉を下げて視線を落とすと、
―ガシ。グイ。ぽふん。
「………!!??」
…何が起こった!?
気が付くと俺は朝比奈の腕の中で、よくわからないけど…、抱き締められてる!?
「えぇっ?」
どうやらガシ、でもう一度手を掴まれた俺は、グイ、で引き寄せられ、ぽふん、で朝比奈の腕の中に収まったらしい。
…うわわわわっ!なななななんで!?
「あ、ああああしゃひにゃっ」
「…翔汰。」
「ふぁいっ!」
朝比奈の服に顔がくっついてる所為で微妙な発音になってしまったが、呼ばれた名前に必死に返事した。
だって、それほどの威圧感があったんだよ。
「昨日の事、どこまで覚えてる?」
「…へ?」
どこまでって、
「朝比奈に、助けてもらったトコまで…?」
「そんなざっくり言われてもわかんねぇ。」
…え?それって、今ここで覚えてる事を詳細に述べろと?
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