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…5。





「あ、な、は、へ…?」
「いや、意味わかんねえから…。」


的確なツッコミありがとう。
でも、ごめん。マジでシャレになんないくらい怖いから!


独り言を聞かれた事は恥ずかしいが、それより何よりまず逃げたい!



「ごごごごごめんなさい!」


反射的に謝り、くるりと回れ右をすると、


「どんだけどもってんだよ…って、待て。」
「ぐえ」



グイッと襟を摘まれて、勢い余ってガマ蛙みたいな声が出ちゃいましたけどぉ!
更に恥ずかしい。なんだこの羞恥プレイ!


喉の圧迫による生理的な嫌悪感に涙目になると、恐る恐る振り返った。



夕焼け色の髪はサラサラとそよ風に揺れ、金色だった目は、今日はカラコンなしで茶色だった。


眉をひそめてジッと見つめられ、どうしていいわからずに視線を揺らすと、じとっとした変な汗が背中を流れるのを感じた。


…どうしよう!どうやって逃げよう!


いまだに掴まれたままの襟元を振り払って全力疾走?
でも、あの身のこなしだ。
絶対俺より足早いだろ!?
年齢的にも無理だろ!?
言っとくけど俺、体力に自信なんか毛穴ほども無いよ!?



さながら蛇に睨まれた蛙状態。
背中だけだった汗を首筋にも感じ息を飲むと、目の前の不良(仮)が不意にふわりと笑った。


…へ?


「ああ、お前昨日の一年だろ。そんな格好してるから庭師かと思った。」


そう俺の頭を撫でる姿は、なんていうか、お兄さん?
そう、面倒見のいいお兄さんって感じだ。
やっぱり驚くほど格好いい。

…怖いし、年下だけど。



「昨日はちゃんと教室行けたか?お前ちっこいし、まあまあ可愛い顔してるから送ってった方が良かったかもとか気になってたんだよな。」

「…可愛い?」


なんだその不名誉な褒め言葉。
しかも「まあまあ」とか微妙過ぎる。



別に俺は可愛くはない。
ムサいかどうかといえば、ムサくないの方に分類はされるが、いたって普通に男の外見だ。
…童顔で雄々しくはないけど。
髭も体毛も薄いけど!



一気に不快になって顔を歪めると、


「…お前、もしかして外部生?もしかして知らない?」


…何を?


怪訝そうに首を傾げてみると、桜の根元に腰を下ろした不良(…以下略)に隣に座るよう促された。



「……。」


…座んなきゃ駄目?
出来る事なら立ち去りたいんだが。

それでも、逃げ出したら追いかけてきそうで、仕方なく隣に腰を下ろした。
勿論間に間隔を空けることは忘れない。






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あきゅろす。
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