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…4。





「…ここに来て良かったかも。」

ポツリと呟いた。



少し、ほんの少しだけど、本堂に来た事を後悔してた。
もう少し頑張って探していたら他の学校求人だって見つけていたかもしれない。
実際に時代は教員不足で、俺の場合たまたま教科の関係で職場が見つからなかっただけだ。


そしたら彼女に振られる事も、ましてや男だらけのこの学園で、変態タラシ教師にひっかき回される事だってなかったかもしれない。



全てはもう過ぎた事で、今更そんな事を口にしてもどうしようもないってわかってる。
何より、だからって学園を辞めてやるとかそんな考えは浮かんでこないのだ。




…まだ始まったばかりじゃん。



まだ、教師1日目が終わったばかりだ。
きっとこれから沢山の経験を積んで、立派教師に成長するんだ。



「…なってやるよ、約束だもん。」


すくっと立ち上がると、目一杯息を吸い込んで叫んだ。



「頑張るぞぉー!!」
「うるさい。」

…ん?


声が聞こえた気がして辺りを見回したが、気のせいだったのだろうか。
てか、内容が内容だけに誰かいたら恥ずかしすぎる。
俺、だいぶイタい人じゃん。



ぐるりと周りを見渡して、桜の周りをくるりと回ってみたが、勿論そこには誰もいなくて…。



「…おばけ?」
「誰がおばけだ。」


今度こそはっきり聞こえた声に青くなって振り返ると、



「上だ、馬鹿。」


見上げた桜の樹の上で、夕焼け色の髪が揺れていた。



「あ。」
「あ゛?」


…ひぃぃいい!

あなたは昨日の不良(仮)さんじゃありませんかっ!


「お前、さっきからごちゃごちゃうるせえんだよ。」

「!」


ひらりと、まるで桜の花びらみたいに舞い降りた不良(仮)は、俺の前に立つと不機嫌そうな顔で睨み付けてきた。







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あきゅろす。
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