…8。
…部屋の前にいたなら、何かしらの用があるって事だよね?
ならチャイムなりなんなりしてもおかしくないのに。
朝比奈からのモーションが何もない事に首を傾げながら、ソッとドアスコープを覗いてみた。
…やっぱりいる。
確かにドアスコープの前の壁に、寄りかかるように朝比奈の姿が見えた。
けど少しも動かない朝比奈は、持ち前の顔とスタイルの良さの所為で、もしかして等身大フィギュア?なんてうっかり思いそうだ。本当、そのくらい動かないんだ。
「………………………………………………………………。」
…えっと、いつまでこうしてればいいんですかね。
だってこのままじゃ進展なんてなかなかないよね。
まあ、いつかは朝比奈が動くとは思うけど、ほら…等身大フィギュアだった場合、下手したら一生このままじゃない!?
ちょっと冷静な判断が出来ていない俺は、ドアスコープ越しじゃ埒があかないとゆっくりとドアを開けた。
といっても僅かな隙間程度が精一杯だけど。
警戒しながら少し顔を出すと、さっきと同じ場所でこっちを見ている朝比奈と目があった。
「……」
「……」
…あれ?やっぱり動かない?
生身に見えるんですけど、やっぱり等身大フィギュアかなんかなんですか?
だとしたら物凄く手の込んだイタズラなんですけど!
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