…2。
ここ数日の色々な疲れが吹き飛ぶんじゃないかってくらい癒されてるのは、多分…いや、絶対にアイツの所為だ。
アイツ、こと無限を思い出して苦い顔をした。
…本当、ムカつく。
一気に下降した気分の所為でムカムカしてくる胸に、唾でも吐きたくなったがぐっと堪えると、地図を乱暴にサイドポーチに突っ込んだ。
だって、せっかくだ。
せっかく一晩反省した俺が、昨日の事を謝ろうかな?なんて。
不本意だけど、悪気があった訳じゃないし。
一方的に言い過ぎた気もするし、無視とかも大人気なかったし…。
「…………はぁ…」
隣のチャイムを押したのは、ここにくる前の事。
山だというからツナギに着替えると、すっかり日が昇った空に、「そろそろ起きてるかな?」とか思ったんだ。
―ピンポーン…
部屋のチャイムを鳴らしてみたが、出てくる気配がない。
…まだ寝てるのかな。
まあ、休みだしそんなもんだろうと立ち去ろうとすると、
ガチャ、
開いた扉に立っていたのは、パンツに校章入りのシャツを羽織っただけの、明らかに生徒っぽい男だった。
「!?」
…えっ!?なにこれ!
突然現れた予想外の人物に呆気にとられていると、
「…誰?無限まだ寝てるけど。」
眠そうに目を擦りながら小さく欠伸をもらす人物に、こんなシチュエーションを経験した事がない俺は、もう頭が真っ白。
「……あ、いえ、なんでもないです…」
どうすればいいのかわからなくなって、無意識にそう返していた。
そう?と閉まるドアを眺めながら、あとからジワリとやってきた衝撃は、なんて表せばいいんだろう。
気怠そうな仕草や格好は、明らかにソレを物語っていた。
いくら初めての経験だったとしても、これってBLによくあるシチュエーションじゃないか?
…信じられねえ。
沸々と湧き上がってくるのは怒りと戸惑い。
だって生徒だぞ?生徒。
昨日の教室で「特定の相手を作らない」とかなんとか聞こえてたから、身体だけの関係ってヤツなんだろうか。
それでも正直、初めて間近に感じた男同士というものに動揺して、同時に昨日の自分の態度を謝ろうなんて考えた自分に腹が立った。
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