…6。
とりあえず、さっきの事の所為で物凄く気まずい俺は、ゴールに向かって走り出したにもかかわらず、
…それって、俺じゃなきゃダメなお題なのかな?
なんて、ちょっと逃避してみたりして。
返事のない朝比奈の後ろ姿を見つめた後、しっかりと握られた手に視線を落とした。
前にも握った事のある手のひらは、あの時よりも少し熱い気がした。
『緑チームは原田先生とゴールを目指しています!
他のチームも次々に借り物を探して走り出しました!』
響き渡った放送にハッとして周りを見ると、当たり前だけど生徒達が応援しながら選手に注目している。
勿論、その中には俺達も入っているわけで、
「…っ、」
コスプレだけでも恥ずかしいのに、繋がれた手がさらに羞恥心を煽ってくるんですけどっ!
…気まず!
そして、恥ずかしいっ!
「えーとっ、朝比奈くん?」
「……」
「朝比奈ー…?」
「……」
…なんで無視するんだよ。
何度呼んでも返してくれない朝比奈に、若干ヘコみそうなったけど、だからってここで引き下がりたくない。
「っ、…朝ひ、な…」
「……」
もう息が続かないくらい上がってて、酸欠になりそう。
…まず足の長さが違うんだから、ちょっとはそこを考慮して欲しいんですけど!
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