…16。
「……ったく、やっとの思いでぶんどったのに…。」
そうだろうな、と桃チームのベンチに視線を投げたが、生憎浜田先生の姿は確認する事が出来なかった。
絶対に見たいというわけではないが、怖いもの見たさはある。
姿が見えなかった事が、ちょっとだけ残念だ。
「…お疲れ様でした…」
スタッフもその難易度の高さをわかっているのか、しみじみと不良選手に労いの言葉をかけると、
「そちらの方は…」
朝比奈の方に向き直ったスタッフの言葉に、さっき破れてしまった紙を開いてみた。
『…たいネコ』
「???」
中途半端な所で破れてしまった紙からは、『ネコ』の部分しか読み取れない。
…そりゃぁ、まぁ猫だけどさ。
撫で『たいネコ』?
飼い『たいネコ』?
それとも…?
一体、『たい』の前には何が付いていたんだと朝比奈を見ると、
「…鳴かせ『たいネコ』だ」
「…………………は?」
…鳴かせたい?
鳴かせたいって、「にゃー」ってわけじゃないよね?
色々察したスタッフがみるみる顔を赤面させて、近くにいた不良選手は品定めでもするみたいに、爪先から頭まで、ゆっくりと視線を向けてきた。
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