…3。
「…俺と来い。」
「えっ!」
グイッと腕を掴んできた強面不良に戸惑う平凡生徒は、それでも自分のチームに貢献しなくちゃという頭があるんだろう。
「あっぁっ、でも…ごめんなさ…ぃ」
殆ど泣きそうになりながら、一応断りを入れる平凡生徒を強く睨み付けた強面不良は、拾った紙を平凡生徒に見せ付けた。
「うるせぇ。お前以外は連れてけねぇんだよ、さっさと来い。」
「!?」
…おおーっと!これは!
他の生徒達には見えなかったと思いますが、後ろにいた俺にはハッキリと見えちゃいましたよ!
紙に書かれた文字。
それは、
『恋人。又は好きな人。』
小説などでは定番といえば定番なお題ですが、実際に見たのは初めてです!
腕を掴んだまま一歩進んだ強面不良は、掴んでいた腕を放すと平凡生徒の前に手を差し出した。
それを真っ赤な顔で見つめる平凡生徒は、自分からおずおずと手を伸ばして…。
…キタコレ!
「…恋人と好きなヤツ、どっちでゴールしてぇ?」
「こ、恋人、で…。」
強面不良はカップル成立に気を良くしたのか、繋いだ手を放したくなかったのか。
しっかりと手を握り締めながら、これでもかってくらいゆっくりとゴールに向かって歩き出した。
色々と察したまわりから冷やかしの声が上がり、それを無視して嬉しそうな強面不良と、湯気が出そうなくらい真っ赤に頬を染めた平凡生徒の凱旋パレードは、
『…すみませーん。走って下さーい…』
放送による催促があっても気にする事なく行われた。
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