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…10。


◇ ◇ ◇







―ドン、ドン!




朝早くに上がった敷地内に響き渡った花火が、生徒が集まったグラウンドでもう一度鳴り響いた。

普段なら清々しさを感じる五月晴れの空の下、俺はガヤガヤと落ち着きのない生徒とは反して、体育祭の開催の狼煙を寝不足気味の目でぼんやりと見つめていた。


昨日のうちに体育委員会と運動部の手によって準備されたグラウンドは、何で?と思わずにはいられない程に豪華な入場門が建てられ、グラウンドを囲むようにチーム毎にカラーリングされたベンチが並んでいる。


しかも何故かチームカラーのTシャツまで着せられるとか、何この無駄に豪華な感じ。



結局昨日は、あの一年生の所為でなかなか寝付けずに最悪のコンディション。
寝不足でシパシパする目を擦りながら迎える事になってしまった体育祭は、生徒ばかりか教師までもチームTシャツを着せられている。

何となくやらなきゃならない感をヒシヒシと感じて嫌だけど、自分のクラスのチームカラーが緑である事に実は少しホッとしてたりして。


…本当、目に優しくて良かった。



「…眠そうだな。」


くわっと欠伸で開いた口を手の平で隠していると、後ろから掛けられた声に急いでかみ殺した。


「…無限先生…」


正直ちょっと会いたくなかったなとか思いながら振り返った俺は、なんて言うか絶句した。




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あきゅろす。
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