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…4。




「はぁ…」


いくら溜め息を吐いてもこの状況が変わるわけない。
なんてたって、今日は入学式だ。


前日までに入寮を済ませた新入生と、一緒に行われる始業式の為に、続々と校舎に入って行く生徒達を職員室の窓から眺めながら、緊張で震える手をギュッと握り締めた。




突然イメージチェンジをした俺を同僚達は驚いていたが、よくよく見ると生徒も教師も随分とカラフルな頭をしている。


…なんで今まで気付かなかった、自分。


長髪もいればおしゃれ坊主も。赤こそいないものの、茶色や金に近い色の教師だっている。
生徒に至っては、新学期にも関わらず制服を着崩したり、目がチカチカしそうな色合いにアクセサリーもジャラジャラだ。


お金持ちが集まるとかそんな話を聞いた気がしたが、世のお金持ちはこんなに自由なものなのだろうか。

右を見ても左を見ても、うっかり不良にしか見えない容姿にビビってなんかない。
無いぞ。絶対!



腕を出すと、まださっきから殆ど進んでいない時計を睨み付けた。


あと30分もすれば、全校生徒が講堂へと入っていく。


しかし、この学園は特殊だと思う。
昨日、入学式の準備をしていた俺は、ついつい無限に訊ねてしまったくらいだ。


だって、椅子の並べられた講堂内には保護者席がなかったのだ。
そりゃあ、全国から生徒が集まる訳だし、全寮制ということもあり保護者は集まり辛いかもしれない。

実際に生徒分の椅子だけで広い講堂内は生徒でいっぱいになりそうだ。


一応、二階に保護者席を設けてあるらしいが、保護者はほとんど集まらないらしい。

保護者に連れられて登校してくるのが普通だと思っていた俺には不思議な感じだった。







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あきゅろす。
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