…9。
なんとか体を起き上がらせた俺は、膝を抱えてギュッと自分を抱き締めた。
…もしかして、無限の事が好きな生徒なのかもしれない。
朝比奈は見た目に反して優しいって知ってるけど、ほら、生徒は先生に憧れる傾向があるじゃないか。
特に、一応ではあるが無限の迷惑な思い付き?の所為で、一部では付き合ってるみたいな事になってたし。
訂正する機会がなかったからそのままになってたのが悪かったのかもしれない。
「……。」
まだ感触が残る唇を噛み締めて眉間にシワを寄せた。
…もしかしたら、その迷惑な勘違いの所為でとばっちりを受けたんじゃないのか?
なんとなく無限が原因な気がしてならない俺は、だったとしたら、とんだ濡れ衣だと思った。
だって俺は、被害者以外の何者でもないじゃないか!
沸々と沸き起こる怒りに堅く拳を握ると、どこに向ければいいのかわからなくて更にキツく唇を噛み締めるくらいしか出来ない。
それから、なんとか立ち上がった俺は、何度も何度もうがいをしてから歯茎から血が出るくらい歯磨きを徹底的にした。
それでも口の中が不快感でいっぱいで、
…まだ、無限のキスの方が良かった。
そんな事を無意識に考えていた事に気付いてなかったんだ。
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