…18。
「あ?俺もまだだけど…」
「じゃあ、俺、無限先生の分まで貰ってきますね!じゃ、行ってきます!」
その場を逃げるように職員テントへ駆け出す俺は、自分でもなんでこんなに急いでるのかよくわからない。
ただ、何故がその場で二人を見ているのが嫌で。
どうしてそんな事を思うのかも考えたくなくて…。
一瞬、得意気に笑う美奈ちゃんが頭をチラついて、変な汗が額にじんわりと滲んだ。
◇ ◇ ◇
「翔…、翔汰先生?」
職員テントまで全力疾走した俺を迎えてくれたのは、白地にカリフラワーの描かれたTシャツ姿の夏兄だった。
まだ開催前だというのに、既に息の上がった俺に驚きつつ、ついいつもの様に「翔」と呼び捨てしそうになったのを言い直した夏兄は、「そんなに焦らなくてもいいのに」と柔らかな笑みを浮かべている。
「…ハハ…、ちょっ、と…準、備運動を…」
はぁはぁと整わない息でなんとか言い訳すると、
「始まる前にバテないでね。」
ふふって小さく笑う姿は、白いTシャツの所為かまるで天使に見える。
ただの天使じゃなくて、大天使級。うん、癒される。
「はい。救急キット貰いにきたんでしょう?」
「うん、あ、はい。…ついでに無限先生の分も頂いて行きます。」
配布名簿にチェックを入れながら、救急キットを二つ受け取ると、一つを自分の腰に、一つを手に持ってお礼を言った。
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