…19。
「…片付けるから、ちょっと時間かかるよ?」
一応分別して持ってはきたが、資料はそれなりの量がある。
動揺を隠すように早口で言うと、
「別にいい。待ってる。」
そう微笑む朝比奈に、わかったと小さく頷いた。
「ちょっと待ってて。」
一度資料室に入って段ボールを置くと、大人しく待っていた朝比奈に鍵を手渡した。
「これ、片付けたら行くから準備室で待ってて。
あ、さっきお弁当貰ったんだ。新歓のやつ。一人ではちょっと多いから、良かったら朝比奈も食べてくれると嬉しいんだけど。」
あの量を思い出して朝比奈に言うと、
「…誰に?」
なんでそんな事が気になるのか、ちょっとトーンの低くなった声で訊ねられた。
…いや、さ。誰からだっていいじゃん?
別に毒が入ってるわけじゃあるまいし。
隠す必要もないけどさ。
「従兄。」
あっさり白状すると、「あんた、ここに従兄なんていんの?」なんて驚いてる朝比奈に素直に頷いた。
「理事代理の静谷さん。俺の母親の兄弟の息子なんだ。」
「はぁ!?」
言った瞬間、こっちがビクッてするくらい大きな声で驚いた朝比奈は、「マジかよ…」とか呟いて明後日の方向を見てる。
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