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…16。





「…資料室。」
「ん。りょーかい。」



スタスタと長い足で資料室へと向かう朝比奈を後ろから追い掛けながら、やっぱりちょっと嬉しさが込み上げてくるのは仕方ないだろう。



…優しいよな。



授業中はダルそうにしている事が多いし、たまに見かけても不機嫌そうにムスリとしてばかりいる。
けど、さり気ない気遣いとかこうやって手伝ってくれる所は凄くいい所だと思う。


この間も、たまたま見掛けた朝比奈は生徒がぶちまけたプリントを拾ってあげてたっけ。



…なんて言うか、面倒見がいい?
まあ、ちょっと俺様入ってるけどさ。




気が付くと少し空いてしまっていた距離を小走りで詰めると、ふと気になって朝比奈に訊ねた。



「あ、そういえば、なんでこんなトコに?」

「あ?…メシだよ。」




そういえば、もうだいぶ昼に近い時間帯だ。

でも、今日の昼食はだいたいの生徒が学食や購買を使うか新歓で得るけど、この校舎は新歓で使用されてない。

だから、どこからどう見ても手ぶらな朝比奈が、昼食を食べにここにくるなんて有り得ない事なんだけど。



…どうしよう、ここはツッコむところ?



でも何か言えないような事があるかもしれない。

そもそも、そこまで突っ込んで訊いていい仲なのかと訊かれれば、ちょっと他の生徒よりは接触が多いってくらいだ。



…キスはしたし、手も、繋いだけど。







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