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…13。





「うん。一時間くらい前にね。」

「…そうなんだ。
ああ、膝掛けありがとね。」



ちょっと照れながらお礼を言うと、夏兄は「ん?」と少し首を傾げてる。




「膝掛けは私じゃないよ?自分で掛けたんじゃないの?」

「え?」

「ドア開けたら寝てるのがわかったからね。入らないですぐ閉めたから。」



思わぬ夏兄の言葉に驚いていると、麦茶を飲み干した夏兄がにっこり微笑んで立ち上がった。




「じゃあ、そろそろお暇するね。」

「え?あ、うん。」



「今度ゆっくりお茶しようね。月曜と水曜の午前と金曜の午後は大抵理事室にいるから今度遊びにおいで?」

「わかった。またね。」



手を振って準備室を後にする夏兄を見送った俺は、空になったコップを持つとつい椅子に掛けた膝掛けを凝視してしまった。



…夏兄じゃないなら誰だよ。


生物準備室に来る人間なんてたかがしれてる。


よく来るのは朝比奈。
初日の罰掃除からきっちり一週間通っていた朝比奈は、罰掃除が終わってからもちょくちょく顔を出してくれる。
けど、テスト期間に入ってからは原則として生徒の立ち入りは禁止だ。

だからここ最近は授業以外であってはいない。



…じゃあ、無限とか?



でも無限は生物準備室が嫌いだから、よっぽどの用がなければここには来ないだろう。

そして用があるなら寝ている俺を叩き起こす。確実に。
間違っても膝掛けを掛けてあげた挙げ句にそっと去るなんてしない。断言できる。


…横山先生…いやいやない。
まず一度もここに顔出した事ないし。







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あきゅろす。
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