…11。
「……」
「………笑ってもいいぞ…」
…うん。
どうしよう。思いっきり笑いたい。
ズボンが黒のジャージなのはいい。わかる。俺も黒だし。
けど、俺とおんなじ緑地Tシャツに沢山のきゅうりが描かれているのは戴けない。
…なんできゅうり?なんでなんだ!?
無限に全然似合ってないTシャツは、見れば見るほど究極に似合わなすぎる。
こんなのどこに売ってんの!?って、思うのは俺だけじゃないよね!?
柄Tシャツに吹き出しそうになった俺は、でもこれ笑ったら絶対に不機嫌になるよなって思うんだけどどうなの!?
「ぷっ、ゴホンゴホン!あー…ん゛っん゛っ!
…なんで、きゅうりぃ、なんですか…?」
つい声が裏返っちゃったけど頑張って訊いてみた。
絶対に笑いそうになったのが誤魔化しきれてないけど…。
ほら、だって気になるじゃん俺は無地のTシャツだから余計に。
一瞬不機嫌そうに眉間にシワが寄ったけど、「笑ってもいい」という言葉通り怒ったりはしなかった。
「………何故か毎年、担任だけは柄物なんだよ…」
どうやらクラスの担任だけは柄物Tシャツが義務らしい。
うん、副担で良かったっ…!
ほら、見てみろよ。って言われた方に視線を向けると、無地のカラーTシャツの中にちらほらと柄物Tシャツが混じっている。
赤はトマト、青は茄子、黄はとうもろこし、桃は…。
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