…5。
遠くから、生徒達の楽しそうな声がする。
笑い声だったり、怒鳴り声だったりと色々だけど、どこか落ち着く不思議な声だ。
そんな中、ウトウトと微睡んでた俺は、なんだか不思議な夢を見た。
俺が生徒でこの学園に通ってて。
実際には有り得ない事だけど、無限や横山先生も同じ学生で、朝比奈とか他の教え子達と一緒に机を並べている。
他にも色んな友達や知り合いとかが入り混じって、騒ぎまくって凄く凄く楽しい夢。
この突拍子のなさは、明らかに『夢』って感じで面白い。
そうして騒いでるうちに、一人が俺に手を伸ばして笑いかけてきた。
それが誰なのかはぼやけてて見えなかったけど、俺はただそれが凄く嬉しくてその手を取って握り返すんだ。
『…翔汰…』
名前を呼ばれて笑いかけると、周りにいた沢山の友達がスッと消えた。
あれ?と思ってると、その誰かに抱き締められて、額にちゅって柔らかな感触が落とされる。
『ちょっ、』
それがキスだってわかった俺は、馬鹿みたいに真っ赤になって照れると、
『誰もいないよ』って、今度は頬に軽くキスされるんだ。
『…翔汰…好きだ…』
…本当、夢って有り得ない。
相手は確かに男なのに、俺はそれをすんなりと受け入れて、あまつさえ、嬉しい、なんて思ってる。
『…俺も、――の事す…』
…本当、有り得ない。
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