…34。
「………はい。」
…ああ、わかってしまった。
察してしまった。
この鍵の意味を。
これから言われるであろう言葉を。
もしかしなくてもこれは…、
「俺の城（数学教科準備室）の掃除よろしく。」
「……………………はい。」
まさかこの年になって、罰掃除を言い渡されるとは。
あれだね、因果応報？
まあ、確かに自分の所為だけどさ。
ついこの間自分も言い渡した罰掃除が、自分に返ってくる事になるとは…て、
「…あ。」
…忘れてた！！
「ばばばつ罰掃除っ！」
「は？だからそう言ってんでしょ。」
俺の焦り具合に「寝ぼけてんのか？」なんて呆れている無限に訂正なんてするつもりはない。
面倒だし！
それより今は朝比奈だ。
そうだよ俺、朝比奈に罰掃除言い付けたんじゃん！
だから来たんだよ、何が「何でここに来たんだろう」だよ！
自分で呼びつけたくせにすっかりサッパリ忘れていた自分は、なんて不誠実な人間なんだろう。
朝比奈に謝らなきゃ！と勢い良く席を立つと、今度はなんだ？と首を傾げる無限に体を向けてぺこりと頭を下げた。
「罰掃除、頑張ります！」
「お？おう…」
そのまま書類やファイルをかき集めて職員室を飛び出した俺に、「鍵は後で部屋に持ってこいよー、お先にー」と無限が言っていたが、おざなりに返事をして急いで生物準備室へ戻った。
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