『オレ×オレ』
14…。
「ハァ。」
部屋のソファーに座ると、煙草と共にため息を吐き出した。
…落ち着かない。
理由は簡単。
今、蓮がオレのベッドに寝ているから。
「…だから飲みすぎだって言ったのに。」
今更言っても仕方ない。
分かっている。
だけど…
スヤスヤと寝息をたてながら、子供みたいな顔で寝ている蓮を見た。
無防備な顔を見せる蓮が愛しくて、ゆっくりと手を伸ばすとそっと髪を撫でてみた。
「反則だよな。折角忘れようと思ったのに。」
愛しい。
愛しい、蓮。
初めて会った時から好きだった。
一生、秘めておくつもりだったのに。
ゆっくりと顔を近付けた。
息が、
かかるほど近く。
唇まで1cm。
だけど、
出来なかった。
すっかり酔いつぶれてしまった蓮は、何度揺さぶっても起きなかった。
家が分からず、送るにも送れない蓮をタクシーで自分のアパートへと運び込んだのは、ついさっき。
その際、
玄関先で大惨事となり、汚れた服を脱がすと汚物を拭き取ってからベッドに寝かせた。
おかげで今は上半身裸。
ジーンズが汚れなかったのだけが救いだ。
「片付ける方の身にもなれよ。」
そう呟くと蓮を見た。
「……………生殺し。」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!