『オレ×オレ』 …1。 「ハァ。」 溜め息を吐きながら煙草を吹かすと、 向かいに座る遊佐を見た。 「ん?何?」 「…別に。」 何なんだよ。 なんて言いながら、遊佐が俺の頭をぐしゃぐしゃにした。 …人の気も知らないで。 今日はプチ同窓会を兼ねた飲み会で、 大学時代のダチ、男ばかり4人で飲む筈だった。なのに…。 ドタキャンは無いだろ。 4人の内2人もキャンセルになり、 結局、遊佐と2人だけで飲み始めたのは、今から2時間以上前。 つーか、遊佐と二人きりだって知ってれば俺だって来なかったのに…。 俺は遊佐と飲みたくなかった。 だけど、嫌いだからじゃない…。 久々に集まる事になったのは、ダチの一人、山田の提案だった。 運悪く、山田の弟の担任をしていた俺に、弟伝いに伝言があったのは、一週間前。 卒業以来、携帯を変え、住所を変え、立派な教師になっていた俺は、音信不通の行方不明者扱い。 …わざと行方をくらませていたのに、なんで見つけるかな? しかも、 『学校に昔の俺をバラされたくなければ来い!』 という脅迫付きだ。 …だって、アイツも来るんだろ? おかげでこの一週間、憂鬱だった。 [次へ#] [戻る] |