[携帯モード] [URL送信]

『オレ×オレ』
…last。



つもりだったなのに…


ここは?
遊佐の腕に抱かれながら、その場に立ち尽くした。


「遊、佐?」

困惑しながら名前を呼んだが、
返事は、ない。


愛しい人の腕の中。

でも、どうして?


その疑問に応えるように、遊佐が言った。

「…蓮の事が、好きなんだ。」

絞り出すような声。


「…服なんて返さなくていいからさ。
…オレのモノになってよ。」


「す、き…?」


馬鹿みたいに繰り返すと、遊佐の手が離れた。


「ごめんな?気持ち悪いだろ?
…だけど、もう隠せないんだ。」

「…」

「ずっと、ずっと好きだった。
忘れようと、女と付き合ったりしてみたんだけどさ。
駄目でさ…。」


時々見せていた
悲しそうな、辛そうな顔。

その正体は、これだったんだ。


「嫌なら、ここでバイバイ。だけど、もし…!!?」


話の途中で俺に殴られて、遊佐が尻もちをついた。


「お前!…お前、馬鹿だろ!」
「?…は、はい。」

目をパチクリさせながら、遊佐が答えた。

「お前!…馬鹿だ!馬鹿!!」
「はは。自覚してるよ…?」

何が可笑しいのか、笑いながら遊佐が言った。
その様子に、更に腹が立ち。
怒鳴りながら言ってしまった。

「…俺だって好きだったんだよ!」
「…へ?」

言った後、真っ赤な顔で見下ろす俺に、
遊佐は間抜けな返事を返した。


「…両、想い?」


こんな間抜けな事ってあるか?

互いが互いに、馬鹿みたいに気を使っていた。


「蓮。愛してるよ?」

笑顔の遊佐が、そう言った。


「…バァカ。…俺だってだよ。」

二人して、
恥ずかしいくらいに真っ赤な顔で、照れながら笑い合ったんだ。


end。

2008/7/5 *緒神

[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!