『オレ×オレ』
…last。
つもりだったなのに…
ここは?
遊佐の腕に抱かれながら、その場に立ち尽くした。
「遊、佐?」
困惑しながら名前を呼んだが、
返事は、ない。
愛しい人の腕の中。
でも、どうして?
その疑問に応えるように、遊佐が言った。
「…蓮の事が、好きなんだ。」
絞り出すような声。
「…服なんて返さなくていいからさ。
…オレのモノになってよ。」
「す、き…?」
馬鹿みたいに繰り返すと、遊佐の手が離れた。
「ごめんな?気持ち悪いだろ?
…だけど、もう隠せないんだ。」
「…」
「ずっと、ずっと好きだった。
忘れようと、女と付き合ったりしてみたんだけどさ。
駄目でさ…。」
時々見せていた
悲しそうな、辛そうな顔。
その正体は、これだったんだ。
「嫌なら、ここでバイバイ。だけど、もし…!!?」
話の途中で俺に殴られて、遊佐が尻もちをついた。
「お前!…お前、馬鹿だろ!」
「?…は、はい。」
目をパチクリさせながら、遊佐が答えた。
「お前!…馬鹿だ!馬鹿!!」
「はは。自覚してるよ…?」
何が可笑しいのか、笑いながら遊佐が言った。
その様子に、更に腹が立ち。
怒鳴りながら言ってしまった。
「…俺だって好きだったんだよ!」
「…へ?」
言った後、真っ赤な顔で見下ろす俺に、
遊佐は間抜けな返事を返した。
「…両、想い?」
こんな間抜けな事ってあるか?
互いが互いに、馬鹿みたいに気を使っていた。
「蓮。愛してるよ?」
笑顔の遊佐が、そう言った。
「…バァカ。…俺だってだよ。」
二人して、
恥ずかしいくらいに真っ赤な顔で、照れながら笑い合ったんだ。
end。
2008/7/5 *緒神
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