『オレ×オレ』
…9。
「別に俺は構わないのに。」
「俺は構うの!」
ギャーギャー言っている岡崎を無視して煙草を加えると、Zippoが無い事に気付いた。
あれ?
どこに落としたんだろう。
落としたとすれば、自販機からここまでのどこか。
一度加えた煙草をボックスに戻すと、
面倒だと思いながらも来た道を引き返した。
思えば、
この時Zippoを諦めていれば、俺はこの気持ちに気付かないでいれたのかも知れない…。
今となっては、
どうにもならないこと。
…ない。
足元を見ながら自販機に向かっていた。
誰か拾っちゃったかな。
ため息を吐いた。
無くすくらいなら、遊佐にあげれば良かった。
何となく、遊佐の悲しむ顔が目に浮かぶと、苦しかった。
とうとう、自販機の近くまで来てしまった。
道がてらに人に聞いてみたが、誰も見ていない。
やっぱり、日頃の行いが悪いからか?
遊佐、
悲しむかな…。
木の陰に自販機が見える。
遊佐と結花ちゃんがしゃがみ込んで何か話していた。
「遊…!」
声をかけようとしたその時、
…二人が、キスをした。
!!
なんだ?これ…。
急に胸を締め付けられて、
物凄い不快感が体中を支配していた。
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