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『花束を君に』
7*4

「私ね…。元ヤンなの。」
握られた手に力が入った。
!!
突然のカミングアウトにどう対処していいか分からない。
『ひとの男に手ぇ出してんじゃねぇよ!』
なんて、メンチをきられるんじゃ!?
出してません!滅相もございません!!

喧嘩に自信はない。
何より、病人相手に喧嘩をする神経は持ち合わせていない。

「…あの人とは幼馴染みでね。物心付いた頃から一緒にいたの。」
昔を懐かしむ声色で、大切な思い出だった事が分かる。

喧嘩をする気はなさそうだ。ホッと胸を撫で下ろした。

「私が荒れていた時も一緒にいてくれた。
…本当に優しい人なの。」
知ってる。

「真面目で冗談が通じなくて…。
あの人が十八の時、喧嘩しながら言ったのよ。
“家族でもないのに横から口出すんじゃねえ!”って。
そしたらどうしたと思う?」
ふふっと笑うと
「なんと次の日、婚姻届を持って来たの。
信じられる?付き合ってもいなかったのよ?」
香苗さんは、笑顔だけど、泣いていた。



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あきゅろす。
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