『花束を君に』
2*5
そして、何と帰り際。
「ありがとう。」
頭上からポツリと放たれた言葉に、そのまま固まってしまった。
………………。
…………。
……。
「霞ちゃん!」
ハッ!
「か、館長…。」
時計を見るとすでに閉館時間が過ぎている。
あれ?フリーズしてた?
「す、すみません…。」
「いいけどさ。」
館長はニヤッと含みのある笑いをすると、
「…深田さんは止めといた方がいいよ?」
耳元で囁かれた。
「!
……バレバレ、ですか?」
冷汗たらり。
館長は、面白い事大好き。
からかわれるのは必至だ。
余計なちょっかいは出されたくない。
「深田さんはノータッチ。俺は関わらないよ?」
え!予想外!
「…どうして、ですか?」
訝しげに顔をむけると、
「そのうち分かるよ。」
苦笑いをして閉館準備を始めた。
どういう事だろう。
気にはなったが、そのうち分かると言うんだ。焦らないでその時を待つことにした。
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