『花束を君に』
last*5
「ゴホン!」
館長の咳払いで我に返った。
トリップしていたらしい。
前に人が立っている。
「…すみません。貸出ですか?」
一人で笑っているところを見られてしまった。
恥ずかしすぎて顔を上げれそうにない。
「城田さん。」
目の前の人に名前を呼ばれて顔を上げた。
この声は…深田さん?
抱え切れない程のカスミ草。その中に埋もれるように深田さんの顔があった。
「え?どうして…?」
思わず立ち上がると、その花束を押しつける様に渡された。
「な、何?」
脇からハラハラと落ちるカスミ草を抱えていると、さらにポケットから何かを取り出し始めた。
「……?」
「家族になったら、今まで通り一緒にいてくれますか?」「え?」
無理矢理、何か握らされたがカスミ草で何なのか分からない。手触りで唯一分かったのは…
紙?
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