『花束を君に』
last*3
「花。好きなの?」
「…はい。大好きです。」
そう言うと深田さんの顔が少し綻んだ気がした。
「…実は買いに行くところだったんです。」
「へぇ。何を?」
「…………カスミ草。」
「え?」
「カスミ草ですぅ!いいじゃないですか何だって。」
誕生花だと言うと、『そうなんだ』と微笑んだ。
「カスミ草が好きなのなんて、香苗ぐらいだと思っていたよ。」
深田さんが、私を見ている。
「そんなこと、ないですよ?
…私、好きな人にカスミ草の花束を貰うのが夢なんです。」
『ますます香苗みたいだ。』と向けられたは、私を見ていると錯覚しそうだった。
違う。
私の中に香苗さんを見ていただけ。
それでも……それだけで、充分。
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