[携帯モード] [URL送信]

『花束を君に』
last*2

それでも、私は香苗さんの代わりでしかない。

香苗さんの話をする時の様に、慈しむ顔や愛しい笑顔を向けてもらう事はなかった。


…そういえば一度だけ。
カスミ草が好きだと言った時、とても優しい目を向けられた時があった。


「…いつもすまない。」
ここ最近の深田さんの口癖だ。

それでも、彼から『来なくていい』と言われる事はなかった。

「何かお礼がしたいんだが…」
何がいい?
と聞かれたが、特に思い付かない。

強いて言えば…
「じゃあ、早く元気になって下さい!
…今日もご飯を残しましたよ?」

作るのが多過ぎるんだよ。
と笑った深田さんは、まだどこか、ぎこちない。


「…そういえば、前に花屋で俺を見掛けたって言ってたよね?」

それは、私が深田さんをつけた時…。
私が、最初に病院へ行った時の話だった。

「…はい。」
恥ずかしい。
後をつけるなんて幼稚な事をしたと反省している。


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!