『花束を君に』
last*1
四十九日が過ぎた頃には、深田さんはほとんど元通りになっていた。
…もう、大丈夫かもしれない。
安心したが、同時に私はもう必要ない。
一か月以上近くにいて、私は益々深田さんを好きになっていた。
しかし、深田さんが私に振り向く事はなかった。
「それじゃあ、明日からは来ません。」
「…悪かったね。今までありがとう。」
いつまでも他人行儀な言葉使いが、二人の距離を表している。
もう、会う事はないだろう。
私は以前の生活に戻るだけ…。
少しの間だけだったが、香苗さんには悪いけど幸せだった。
寝泊まりはしなかったものの、一緒に食事をしたり、深田さんの為に家事をしたり…。
深田さんは、だんだん笑ったり怒ったりする様になっていって、最後の方は食事にも連れて行ってくれる様になった。
まるで、恋人と錯覚するほど…。
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