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『花束を君に』
1*3

意外にも館長は、私を社員にしてくれた。
どうやら息子さんが経営している会社に専門の部署があり、そこから派遣されている扱いになっている様だ。
もちろん、保険完備。週休二日制で有給やボーナスまである。
どこからその金が出ているかは分からないが、深く考えてはいけない気がする。

本当に“当たり”だったよな…。
しみじみと思い返していると、カウンターに無言で本が置かれた。

「貸出ですね?」
いつものサラリーマン風のスーツの男だった。

この人は、毎日閉館15前きっかりにきて、5分前に館を出て行く。彼が帰ると閉館準備。という時計いらずの人だった。

…確か、名前は深田さん。

本に手を伸ばすと会員証の他に、何かのっている。

…?
絆創膏??

顔を見ると目だけでさっき切った指をさした。

これ?
「…あ、ありがとうございます…。」

怖そうな顔をしている割に優しいな…。



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あきゅろす。
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