『花束を君に』 7*2 「これ…。深田さんに頼まれました。」 「ふふ。私が頼んだの。」 本を手渡すと悪戯っぽい笑みを浮かべ、椅子に座る様に促された。 「座って?」 明らかに私の方が強そうだったが、なんだろう。この威圧感は…。 大人しく腰をかけると奥さんが口を開いた。 「深田香苗(かなえ)っていうの。よろしくね?」 「…城田、霞です。」 「かすみ?」 ぱぁっと顔を輝かせた後クスクスと笑い出した。 「あの人は本当に私の好きなものばかりを集めてくるのね。」 気を悪くしないでね? と言われたが、不思議と悪い気はしない。 …思い切って聞いてみようか。 「どうして、私を呼んだんですか?」 「さぁて。どうしてでしょう。」 はぐらかされた? 私に諦めてもらう為…なんてね。 以前、深田さんに言われた事を思い出した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |