『花束を君に』 1*2 「…あの、私、城田霞(しろた かすみ)って言います。ここで雇っていただけませんか?」 駄目で元々。 何もしないよりはマシだ。 館長は何も無かったように本に視線を戻すと 「…いいよ。」 さらりと答えた。 …そっかぁ。やっぱり駄目だったか…。 肩を落として帰ろうとした。 「いつから来れるの?」 …あれ? なんて言った? 「…話聞いてる?」 「!聞いてます!!」 あまりにもあっさり承諾されたものだから、断られたかと思った。 「これ!履歴書です。」 鞄からいつも持ち歩いている履歴書を出すと、チラッと見ただけで机にしまってしまった。 「いつからでも大丈夫です!」 「じゃあ、明日。9時開館だから、とりあえず8時に来てね。詳しくは明日で。」 「はい!」 やっったぁああ! こんなに上手く行く事ってあるんだろうか。 丁度その頃社員が一人、結婚退職したばかりだったらしく、絶妙なタイミングだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |