『花束を君に』 last*6 ふと、香苗さんの言葉を思い出した。 『なんと、次の日婚姻届を持って来たの…』 想像出来る? もしかして…? もし、そうだとしたら…。 「ふか…」 名前を呼ぼうとしたその時、いきなり視界が全てカスミ草になった。 それが深田さんの腕の中だと、すぐに気が付いた。 深田さんの匂い…。 カスミ草の香りに埋もれて、ありえない筈の感触に涙が出そうだった。 「…俺の中で、香苗が消える事はたぶん一生無い。 それでも、一緒にいてくれますか?」 耳元でする愛しい声。 「…はい。」 ゆっくりと閉じた瞼の奥で、香苗さんが 『ほら、言った通りでしょ?』 と笑っていた気がした…。 end 2008/6/2 *緒神* [*前へ] [戻る] |