『花束を君に』
5*2
見られてた?
動揺を隠し切れる程ポーカーフェイスではない。
「えっと…。知人のお見舞いには行きましたが。」
「……」
ダメだ。きっと付けていた事に気付いたんだ…。
軽蔑される!
怖くて手が震えた。
「…そうですか。お知り合いの方が…」
?
「…お知り合いの方にお体を大切にとお伝え下さい。」
「あ…はい。」
館を出る後ろ姿を見ながら、深田さんの態度が気になった。
「…霞ちゃん。」
館長の方を見ると、苦い顔をしている。
?
「病院、行ったの?」
「……」
無言は肯定でしかない。
「…奥さんの事」
ドキッと肩が揺れる。
「どこまで知ったの?」
“どこまで”?
館長は一度深い溜め息を吐くと重い口を開いた。
「…深田さんの奥さんはな…癌なんだよ。」
ガ、ン…?
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