『花束を君に』
3*4
翌日から、深田さんはまた挨拶をしなくなった。
私も声をかける事ができなかった…。
顔を見る事も出来ない。
極力見ない様に。
極力普通に…。
「何かあったのかい?」
館長だった。
「…凄く辛そうだよ。」
辛い。だけど…
「何でもないですよ?」
無理に笑おうとしたが、笑顔が作れなかった。
察しているのだろう。
館長はおもむろに私の頭に手を置くと、ぐしゃぐしゃに撫で回した。
「ドーンと休暇でも取ってみたら?有給余ってるし。
一週間ぐらいなら休んでも大丈夫だよ?
…少し気持ちを休めるのも必要だよ。」
確かに、仕事が少し疎かになっていた。
その方がいいかもしれない。
館長のお言葉に甘えて、一週間の有給を取る事にした。
もう!と頭を直しながらも、館長の優しさが嬉しかった。
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