『花束を君に』
3*3
告白する前にフラれてしまった…。あはは…泣きたいや。
辛かった。
仕事を終え、家に帰ると思いっきり泣いた。
あんなにキッパリと拒絶されたのだ。
もう、この想いは忘れなくてはならない。
…出来るだろうか。
棚の引出しに、大事にしまって置いた絆創膏を取り出すとそっと両手で包み込んだ。
「…深田さん」
なかなか枯れない涙がぽたぽたと、重ねた手に落ちて滑った。
深田さんの低い声。長い指。
時々見せる伏せ目がちな微笑も、まだ当分消えそうに無い。
明日、私は笑えるだろうか…。
鏡の前で笑顔の練習をして見たが、なんて不細工なんだろう。
こんな顔、あの人に見せたくは無かった。
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