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『花束を君に』
2*4

やっと、声を聞けたのは、さらに1週間以上過ぎてからだった。

その頃になると会釈の回数が増え、微笑もすでに数回見ている。
そろそろもう1ステップ進みたい所。
今日はオススメの本を用意してみた。

「こんばんは。今日もお疲れ様です。」
ペコ。
「ご返却の本、お預かりしますね。」
いつもの様に本が差し出された。
手続きをしながら、取っておいた本をカウンターに置いてみた。
「こちら、オススメの本なんですけど、如何ですか?」
「……」
無言のまま本を受け取るとページをパラパラと捲った。

お?
好感触じゃない?
これまでの経験で、少しずつではあるか表情が読める様になってきた。

これは作戦勝ち!
また逃げられるのは嫌だ。
心の中でガッツポーズをして、極力表情に出さない事を心掛けた。
コンセプトは、“みんなにオススメしています”だ。

顔を見上げると会員証と共にオススメ本が渡された。
やっぱり無言だったが、凄く嬉しい!
思わずにっこり微笑んでしまった。



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